高萩工場訪問記③ — 熟練のプレスと妥協なき製造哲学

高萩工場訪問記③ — 熟練のプレスと妥協なき製造哲学

■ プレス工程が形づくる本質

高萩工場のコアに位置するのがプレス工程です。アルミ板を一体成形するこの工程は、鍋やフライパンの基本性能を大きく左右します。ドローイングプレスやサイドフレーム型の大型プレスが素材を深く絞り込み、最終的な形状と板厚の均一性を実現します。機械の力だけではなく、そこに携わる担当者の判断が良品を生み出します。


■ 季節や素材を読む調整力

同じ設備、同じ金型でも、素材の伸びや反応は季節やロットによって変化します。そのため、担当者は温度や湿度、素材ロットの差まで考慮して機械設定を微調整します。圧力、油量、板の置き位置、タイミング──些細な条件の差が製品に反映されるため、日々の観察と経験に基づく細やかな対応が求められます。


■ 仕上げ工程へのつながりと責任

プレスで成形された製品は、その後の研磨、アルマイト、仕上げラインに渡されます。工程は連鎖しており、一つの段階での妥協が後工程に影響を及ぼします。プレス担当は次工程の担当者が作業しやすい状態を意識して成形を行い、工程間の信頼関係が確かな製品品質へとつながっています。中尾アルミ製作所では、各工程の担当者が「次の工程を思いやる」視点を共有しています。


■ 継承される妥協なき姿勢

当社のものづくりは、特別な理念を声高に掲げるものではありません。むしろ「歴史に恥じない、妥協しない製品づくり」を淡々と続けていくことを何より重視しています。現場では手を抜かないスタッフの存在があり、工場責任者は良好な作業環境を整えることでスタッフの技術が伸びるよう配慮しています。その連続が、プロの厨房で求められる信頼と耐久性、使い勝手の良さを生み出しているのです。